強迫性障害
鍵を閉めたか気になって、何回も何回も確認をしてしまいます。それで外出もできなくなってしまって・・・
それは強迫性障害の可能性もあります。強迫性障害とは、頭の中に浮かぶ考えにとらわれ、それを打ち消そうとする行為がやめれずに、日常生活や、精神状態に支障がある状態です。強迫性障害の症状は、「強迫観念」と「強迫行動」に分けて考えます。
- 強迫観念・・・
- 手や服などが汚染されている
- いけないことをしてしまうんではないか(盗んだり、たたいたり・・・)
- ぴったり、しっくりこない
- ものをため込んでしまう
- 強迫行動・・・
強迫観念を打ち消すために行う行動、つまり、手を洗う、鍵を閉めたか確認をする、事故が起きていないか確認をする、などです。
自分でもやりすぎだとは思っているんですが・・・気分も落ち込んでしまいます。
強迫行動は「自分でもやりすぎてしまっているな」と違和感を感じていることが多いです。ストレスがたまることで、うつ病や不安障害を合併してしまうことも多いんです。
周囲を巻き込んでしまうこともあります。
こんな病気の人はいないんでしょうか?
強迫性障害は10代から20代に発症することが多く、有病率は2~3%とされて、比較的多い疾患です。WHO(世界保健機関)でも、「経済損失および生活の質の低下に影響する10大疾患」といわれるほど、重要な疾患です。
意外と多いんですね。でも、潔癖症とは違うんですか?
手洗いなどに時間がかかりすぎてしまい、仕事や生活に支障が大きく、本人が強い苦痛を感じていること、がポイントです。
どのような治療がありますか?
昔は治療が難しいといわれていましたが、最近ではお薬なども進化して、改善が期待されます。ただし、症状が完全になくなることを目指すというよりも、「今症状があるなかでも、環境を整え、できることを1つずつしていくこと」です。
そのための治療としてはカウンセリング的なアプローチとお薬の治療があり、両方とも大事です。
なるほど・・・お薬はどのようなものを使うのですか?
お薬の治療としては、SSRIという抗うつ薬を処方します。
副作用として、服薬を開始した初期(1-2週間ほど)に下痢や嘔気が出る場合がありますので、副作用止めとして「ガスモチン」という胃腸薬を併用する場合があります。
SSRIは比較的多くの量を使用することが推奨されますが、それでも効果があるのは60%程度と言われています。効果が不十分な場合には、抗精神病薬というドーパミンをブロックするお薬を併用する場合もあります。お薬で気持ちが落ち着いたときに、心理的な治療を行います。
なるほど。心理的な治療にはどんなものがあるんでしょうか?
心理的なアプローチとして、まずはこの病気の仕組みを理解してもらうことが大事です。その後、暴露反応妨害法という方法がよく行われます。これは、強迫観念を起こす苦手なものを書き出して、軽いものから、一番苦手なものまで並べます。そして、まずはわざと一番軽いものに触れてみても、強迫行動をしないように練習をします。強迫観念が強くなり、強迫行動をしたくなりますが、そのまま我慢して強迫行動をせずにいると、時間とともに気持ち悪さはよくなっていくことを体験していただきます。
ありがとうございます。大変そうですが、頑張って治療を受けてみます。